2025年4月15日、環境省が不要のリチウムイオン電池を市区町村が回収するよう通知しました。
スマートフォンやノートパソコン、電動工具、そして電気自動車まで、私たちの生活に欠かせないリチウムイオン電池。
その高性能さゆえに広く使われていますが、実は「未使用」でも劣化が進み、環境問題や火災の原因になることをご存じでしょうか?
この記事では、リチウム電池の寿命メカニズム、保管時の注意点、処分の仕方、そして環境・安全面でのリスクについて詳しく解説します。
未使用のリチウムイオン電池は何年もつ?
未使用だと平均寿命は約2〜3年。
「使っていないから長くもつはず」と思われがちですが、未使用状態でもリチウムイオン電池の寿命は着実に縮みます。
一般的な未使用時の寿命目安
保管条件 | 期待できる寿命 |
---|---|
適切な環境(20〜25℃・湿度40〜60%・40〜60%充電) | 約2〜3年 |
高温や満充電、過放電での保管 | 数ヶ月〜1年未満 |
⚠️ ポイント
- 化学反応は時間と共に進むため、未使用でも劣化は止まりません。
- 放置しすぎると過放電状態に陥り、再利用不能になることも。
- 製造からすでに2年以上経過している新品電池には注意が必要です。
リチウムイオン電池は「消耗品」であり、使わずに放置しても3年以内には点検や交換を検討すべきです。
買いだめや長期保管は避け、必要なときに購入・使用するのが安全です。
リチウムイオン電池の寿命は「使わなくても」縮む
「使用していない=安全」ではありません。
未使用でも劣化する理由とは?
多くの方が誤解しているのが、「使っていなければ電池は劣化しない」という考え方。
しかし、リチウムイオン電池は未使用でも劣化します。その主な理由は以下の通りです:
- 自己放電:少しずつ内部で電気が消費される
- 電解液の分解:経年劣化でガスが発生し、膨張や発火のリスクに
- 保存温度の影響:高温・低温での保管は内部化学反応を促進
とくに高温多湿の環境で長期間保管された電池は、外見上問題がなくても内部が深刻に劣化していることがあります。
寿命が来たリチウムイオン電池のリスク:火災と環境汚染
使用済みだけじゃない、未使用電池の火災事例
最近では、未使用のリチウムイオン電池が原因で倉庫火災が発生するなどの事故も報告されています。
これは、保管中に内部短絡が起きたり、ガスの蓄積により破裂・発火したりするためです。
実際に起きたリチウムイオン電池の火災ニュース
📰 事例①:未使用の電池が原因で倉庫が全焼(2023年・埼玉県)
**2023年5月、埼玉県の物流倉庫で火災が発生。**出火原因は未使用のリチウムイオン電池の自然発火とされ、倉庫の一部が全焼。周辺住民への避難指示も出されました。保管中に電池が膨張し、内部短絡が発生した可能性があると報道されました。
出典:NHKニュース 2023年5月12日「未使用電池の発火か 倉庫火災で専門家が警鐘」
📰 事例②:家庭ごみから出火、ゴミ収集車が炎上(2022年・大阪府)
**2022年9月、大阪市内でゴミ収集車が突如発火。**原因は家庭ゴミの中に混入していた使用済みリチウムイオン電池でした。回収中の圧力や摩擦によりショートし、発火・爆発したとみられています。
出典:朝日新聞デジタル 2022年9月19日「ごみ収集車から火 バッテリー混入が原因か」
放置もダメですし、燃えるゴミのに混ぜて出すのも絶対ダメですね。
環境への悪影響も見逃せない
寿命を迎えた電池をそのまま放置すると、以下のような環境問題にもつながります:
- 重金属の土壌汚染
- リチウム資源の無駄遣い
- 適正処分されないことによるリサイクル不能
リチウムは貴重な資源であり、回収・再利用が前提とされているにも関わらず、実際には多くの電池が一般ごみとして処分されています。
適正な回収・処分が行われないと、将来の環境に大きなツケを残すことになります。
正しい保管方法と処分方法とは?
リチウムイオン電池を長持ちさせる保存のコツ
- 40〜60%の充電状態で保管(満充電・空にしすぎない)
- 高温多湿・直射日光を避ける
- 金属類と一緒に保管しない(ショート防止)
- 定期的に電圧チェック or 残量確認
処分時の注意点
- プラス極とマイナス極の金属端子部やリード線にテープ等を貼り,絶縁する
- プラスチックケースやビニールケースに入った電池パックは,解体しない
処分の方法
- 自治体の回収ルールに従う
- 家電量販店などの回収ボックスを利用
- 電池リサイクル協力店での安全な引き渡し
「未使用だから捨てるのはもったいない」と思っていても、劣化が進んでいれば危険です。
以上の方法で適切に処分しましょう。
まとめ:リチウムイオン電池は「未使用でも管理が必要」
- リチウムイオン電池の寿命は未使用でも進行
- 未使用だと平均寿命は約2〜3年。
- 劣化が進むと火災や環境問題のリスクが増加
- 適切な保管と処分が安全と環境保護につながる
放置された未使用電池が、思わぬ事故や地球環境への負荷を生む可能性も。今一度、自宅や職場に眠るバッテリーの状態をチェックしてみてください。